カテゴリ: 海外のくらし

紛争と資源の関係について。
ルワンダ、コンゴの上方には、ソマリア沖・アデン湾が位置します。

ここに日本は、2009年から護衛艦・哨戒機を派遣しています。
2011年6月、ジブチに派遣航空隊の拠点を開設。
2011年7月には、海賊対処行動の延長が閣議で決定されました。

海賊対処行動について。
外務省のページから概略、見出しを引用。

ソマリア沖・アデン湾の海賊問題の現状と取り組み
平成24年2月

ソマリア沖・アデン湾で海賊事案は,乗っ取り成功率が減少する一方で事案発生件数は増大する傾向にあり,海賊の展開海域もソマリア沖東方海域や西インド洋の広大な海域に拡大する傾向にあり,船舶の航行安全に大きな脅威となっています。日本をはじめ,各国はこの地域の海賊対処を国際的に重要な課題と捉え,事案発生防止に取り組んでいます。

・ソマリア沖・アデン湾における海賊発生状況
・世界全体の海賊発生状況・国際社会による取り組み
・我が国の取り組み
・関連機関のリンク
日本の対ソマリア支援は、2011年2月時点、2007年以降総計1億8,400万ドル(145億2,300万円)。
ソマリア沖・アデン湾の海賊問題の現状と取り組み

日本の「海賊対処行動」は、海賊対処法に基づいています。
海賊対処法は、2009年6月に制定されました。
以下、衆院特別委で可決されたときのニュース。

海賊対処法案、衆院特別委で可決
2009年4月23日 13:43 [日テレNEWS24]

ソマリア沖の海賊対処で自衛隊を派遣する根拠となる海賊対処法案が23日午後、衆議院の海賊・テロ特別委員会で可決された。この後の本会議で衆議院を通過する見通し。

民主党・平岡秀夫議員「武力紛争に巻き込まれる恐れがあるということを国民は心配している。国会の承認なりを得て、出ていくのが本来あるべき姿だと」

麻生首相「公海上において、日本の関係する船舶を海賊行為から防護するための目的。海外派兵に当たるというのは全く関係ない」

この法案は、海上保安庁が対応できない場合に限って自衛隊が出動すると定め、現行法にない外国船の護衛と海賊船を停止させるための射撃を可能にする内容。民主党は自衛隊の海外派遣である以上、国会の事前承認を義務付けるなどの修正を求めていたが折り合わず、採決の結果、与党の賛成多数で可決された。

法案は23日午後の本会議で衆議院を通過する見通しで、政府は今国会中に成立させる方針。
4月21日、衆議院に参考人として招致された水島朝穂さん。
海賊対処法案の問題を指摘し、国際協力のありかたを提言しました。
国会で海賊法案を批判する  2009年4月27日 [平和憲法のメッセージ]

第一に、ソマリアの政治的安定化です。「海」の安定には、「陸」のそれが不可欠という真理を改めて確認することを意味します。

第二に、ソマリアとイエメンの沿岸警備隊再建への国際的支援です。2009年になって海賊行為の70%は、イエメン沖で起きています。ソマリアと同時にイエメン沿岸警備隊の再建・強化こそ、「海賊」問題解決への近道です。 

第三に、海賊には国際的ネットワークが出来ているので、組織犯罪対策への多角的協力(INTERPOL など)を行うことで、このネットを絶つことが大切です。

第四に、ソマリア沖での違法操業や海洋投棄への対策をとることです。

上記四つの課題は、軍艦や護衛艦を派遣しても解決しない。莫大なお金を使って護衛艦を派遣するよりも、同じ金額ならば、上記の課題に投入する方が効果的でしょう。

さらに、国際海事機構(IMO)はソマリア沖海賊対策で、海上取締官を養成する訓練センター設置を周辺諸国に勧告しています。日本の海上保安庁は「アフリカの海上保安官」育成に積極的に協力するといいます(『東京新聞』2009年2 月21日付「ソマリア沖海賊対策訓練所:育て『保安官』 海保積極協力」)。東南アジア諸国の海賊対策に協力してきた海保のノウハウが、アフリカにも応用できます。

日本は、護衛艦派遣をやめて、海保を軸に、資金援助、人的援助、巡視船の提供などで、アデン湾岸諸国の海賊対策に協力する道を選択すべきだと考えます。
海賊が出没した背景、ソマリアへの国際協力について。
石 弘之 さんも、同様の見解を示しました。

なぜ、ソマリアで海賊が暴れるのか
2009年6月26日 石 弘之 [ECO JAPAN]

ソマリア近海で海賊が出没し、船舶を乗っ取っては高額の身代金を要求する。この海賊の正体は何か? ソマリアでは無政府状態が続くのをいいことに、好漁場だったこの近海に欧州やアジアの漁船が殺到して漁場資源を枯渇させ、海岸には欧米やアジアの企業が有害廃棄物を不法投棄してきた。この乱獲と汚染で生活できなくなった漁民が海賊になったのだ。

(中略)

海賊行為を弁護するわけではないが、各国は海軍を派遣するのではなく、欧米の大企業に有害廃棄物の投棄をやめさせ、汚染や乱獲の被害を受けた漁民を補償して自活できる道をもっと早く考えるべきだったのではないか。身代金や海軍の派遣など莫大な出費を強いられることになった。

2010年、FPIFは「WikiLeaksがアメリカがエチオピアにソマリア侵攻をさせたと暴露」と報道しました。

エリトリア大使館ニュース 「WikiLeaks-アメリカがエチオピアにソマリアを侵攻させたと暴露」
 エリトリアは、ジブチ、エチオピアの隣国。

■原文:WikiLeaks Reveals U.S. Twisted Ethiopia's Arm to Invade Somalia(FPIF)

有害廃棄物については、市村佐登美さんの翻訳、まとめページがわかりやすいです。
ソマリアの海賊と放射性廃棄物、殺されたイタリア人記者

■原文:Radioactive and hazardous waste in Somalia shall be exposed
http://www.youtube.com/embed/-lM7VCIuCXI

放射性廃棄物といえば、原発。
「トイレのないマンション」というたとえは、言いえて妙。
様変わりする世界の原発世論(2011年5月11日  石 弘之 [ECO JAPAN]

紛争と資源、産業の関係について。
日をあらためて、引き続き言及します。

法務の自習。
言葉の違いが気になり、『新字源』で調べてみたのが以下。

係争
当事者の間で争いの的になっていること。

紛争
紛諍=紛競。ごたごた争う。みだれ争う。 
違いは、当事者間に限定されるかどうか?
個別紛争を係争と言う場合があるのは、それでかしら(?_?)

紛争といえば、内戦。

わが魂を聖地に埋めよ』を読んでいて。
内戦、民族紛争の要因は、すべからく資源略奪。
そう感じて、思い出したのがルワンダ。

ルワンダでは1994年、ジェノサイドがありました。

ジェノサイドは、民族紛争によるものとされてますが。
民族紛争の種は、植民地時代にうえつけられたもの。
1994年当時、駐留していた元PKO部隊司令官、
ロメオ・ダレールさんは、そう指摘します。

「そもそも問題を作った原因は、ルワンダを植民地にしたベルギーにあります。頭のサイズなどから無理やり民族を区別し、ルワンダ国民に民族の名を記した身分証明書を持たせました。ベルギーはルワンダを民族で分割し、国民にその違いをはっきりと意識させたのです」

元PKO部隊司令官が語る ルワンダ虐殺
[BS1 2005年7月23日放送 22:10~23:00]
 

ジェノサイドは防げたはずが、見逃されて事実になった。
そう説いた本があります。

ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実
ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実


ルワンダの産業と資源について。

ルワンダの中心的産業は農業であるが、輸出において最も重要な資源は商品作物であるコーヒーではなく、鉱物資源である。
ルワンダはアフリカ大地溝帯に位置するため、海嶺型の鉱物資源を産出する。生産量が最も多いのはスズ(170トン、2002年時点)である。経済的に重要なのはタングステン(150トン)で、産出量が少ないように見えるが、世界第8位の産出国であり、タングステンだけで同国の輸出額の約3割を担っている。このほか金(10kg)と天然ガス(13兆ジュール)を採掘している。 

タングステンの用途
比重が大きく高い硬度を持つため砲弾、特に対戦車、対艦船用の徹甲弾に用いられるが、この用途では後発の劣化ウランと競合する。金との比重が近いことから、金の延べ板の偽造に用いられることがある。

Wikipediaより引用)

ルワンダの内紛は、隣国コンゴの内紛に関係。

2009年には、こういう記事がありました。
欧州諸国「ルワンダ大虐殺の再来」回避を要請、コンゴ民主共和国情勢

フランスはかつて、ルワンダ政府から糾弾されていました。
ジェノサイドに積極的に加担したとする報告書も。

コンゴの内紛は、ベルギー侵略時代からの資源略奪に関係。

コンゴの資源について。
Wikipediaから引用。

銅、コバルト、ダイヤモンド、カドミウム、黄金、銀、亜鉛、マンガン、錫、ゲルマニウム、ウラン、ラジウム、ボーキサイト、鉄鉱石、石炭などを産する世界トップクラスの鉱産資源国であり、輸出の約9割を鉱産資源が占める。コバルトの埋蔵量は世界の約65%。かつてはウランの採掘も行われており、1945年に広島市に投下された原子爆弾の原料はベルギー領コンゴ国産であった。一方、コルタン(タンタルの鉱石)は、北キヴ州などに展開する反政府武装組織の資金源とされており、国内が不安定化する要因の一つとなっている。
また、ギニア湾沖に海底油田を擁しており、原油の輸出も盛んで同国の経済を支える重要な財源となっている。
紛争と資源の関係。
日をあらためて、言及します。
 
 

注文した本が早速、届きました。
上下巻、まずは上巻から。

わが魂を聖地に埋めよ―アメリカ・インディアン闘争史 (上巻)
わが魂を聖地に埋めよ―アメリカ・インディアン闘争史 (上巻)
著者:ディー・ブラウン
販売元:草思社
(1972-01)






帯(紹介)
全米に衝撃を与えた超ベストセラーの完訳

フロンティアの神話に飾られた西部「開拓」の大いなる歴史をくつがえし、血ぬられた西部史をインディアンの声を通して再現した一大叙事詩。

フロンティアの歴史に対するこれまでに最も重要な貢献である(サタデー・レヴュー)

インディアンの偉大な酋長や戦士たちの詩的な語り口と雄弁は魂をゆさぶる(ウォールストリート・ジャーナル)

よくできた小説のように読めるが、いたましいことに、これは小説ではない(プレイボーイ)

われわれが何者であり、何をやってきたのか、またそれはなぜなのか、われわれはほんとうには知らなかったのだ(ニューズ・ウィーク)

中は上下2段組、 書体は小さめ。
下巻にすすむまで、時間がかかりそうです。

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