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座りっぱなしのデスクワークは体に悪い」。
そういう記事を見かけてから、しばらく。
スタンディングデスクワークを推奨する記事が、主立つようになりました。

どうなんでしょう?

そもそも、「座りっぱなしのデスクワークは体に悪い」とは。
同じ姿勢を長時間続けると血流が滞る、筋力が衰える、全身の緊張状態が長引く。
だから体に悪いという、なるほどもっともな理屈です。

問題は、同じ姿勢を長時間続けること。

座りっぱなしを立ちっぱなしにしては、問題が解決しません。
出産が近い人、貧血の人、病前後の人、起立が難しい人でないとしても。
デスクワークをまっとうする上で、スタンディングは必ずとするものではありません。

それに、ワークといえば労働衛生管理の範疇。
厚生労働省からは、新VDT作業ガイドラインというものが発表されていて。
昨今のデスクワーク、パソコンなどを使う作業について規定されています。

したがって、デスクワークの安全管理は、ガイドラインに沿って行うのが順当。
スタンディングデスクワークは、するとすれば個人の範疇で行うものであり。
公的な推奨はもちろん、会社など組織が行うことではないと言えます。

ここで、新VDT作業ガイドラインを見ると。
一連続作業時間は、1時間を超えないようにすること。
作業休止時間、小休止を設けることなどの管理基準が掲げられています。

個人では、このガイドラインに沿った実施が難しい場合は?

座ったままでもできる、簡単なストレッチなどを取り入れてください。
下肢に血流が滞らないように、足首、膝、股関節、腰を回す。
目や肩、背中、上半身の血流をよくする運動やマッサージも。

作業に集中しているときは、それすらも難しいかもしれませんが。
疲労がたまると、心身に悪影響が及ぶだろうことが予見できますし。
健康管理や能率を下げない工夫をするのも、仕事のうちです。

そして、もし、そういうことが許されない環境ならば。
できる環境に身を置く方策を考え、実行してほしいと思います。
自分のために、共生する他人のために。

今はできても、できない場合や人のことは考えておいたほうがいい。
その上で、推奨されていることを取り入れるかどうか、自分で決めるのがいい。
立ち仕事も病前後も経験した身として、実感をこめてそう進言します。

【関連リンク】
新VDT作業ガイドラインのポイント(東京労働局)
VDT、正式にはVisual Display Terminalsと言います。

新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の策定について
平成14年4月の記事。策定から10年以上経っても一般には浸透していない。

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論拠は、たった10人の被験者、簡単なテスト。

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立ち仕事が体に良ければ、こういうものは発明されないと思う。

パート女性、早産リスク高め 正社員・主婦の2.5倍(朝日新聞デジタル)
立ち仕事との関連について。

下肢静脈瘤情報サイト:足健康
立ち仕事をする人に多い病気。

写真素材 足成(投稿者別画像一覧:いしだひでヲ)
ぽっちゃりビジネス姿がリアル。使わせていただきましたm(__)m